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NC装置の種類と違い ― FANUC・MAZATROL・OSPを比較する

2026年8月17日 更新

NC装置の種類と違い FANUC・MAZATROL・OSPを比較する解説図
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NC工作機械を動かす頭脳にあたるのが「NC装置(数値制御装置)」です。同じマシニングセンタやNC旋盤でも、搭載されているNC装置のメーカーや種類によって、操作方法やプログラムの作り方が大きく異なります。中古工作機械を選ぶ際、主軸やボールねじといった機械本体の状態には目が行きやすい一方で、NC装置の種類や操作性は見落とされがちです。しかし、実際に現場で使いこなせるかどうかを左右する、非常に重要な要素でもあります。この記事では、代表的なNC装置であるFANUC・MAZATROL・OSPの特徴と違い、中古機選定時の確認ポイントまでを解説します。

NC装置とは何か

NC装置とは、加工プログラムを解釈し、工作機械の各軸(サーボモーター)や主軸、周辺機器に指令を送る制御装置です。オペレーターが加工内容をプログラムとして入力すると、NC装置がそれを解読し、サーボアンプを通じて各軸を動かし、指令通りの加工を実現します。工作機械の「操作パネル」として日常的に触れる部分でもあり、オペレーターの使い勝手に直結する存在です。

NC装置の役割

NC装置の役割は、大きく3つに整理できます。1つ目は、加工プログラムの読み込みと解釈。2つ目は、各軸のサーボアンプへの指令送信と、全体の動作タイミングの制御。3つ目は、オペレーターへの情報表示や、加工プログラムの編集・管理機能の提供です。これらを1台の装置で担うことで、オペレーターは複雑な機械の動きを意識することなく、加工プログラムの作成や機械の操作に集中できます。

主要なNC装置メーカーと種類

FANUC(ファナック)

FANUCは、世界で最も広く普及しているNC装置メーカーです。多くの工作機械メーカーがFANUC製のNC装置を採用しており、業界標準的な操作体系(Gコード・Mコードを中心としたISOフォーマット)を採用しています。汎用性が高く、多くのオペレーターが操作に慣れているため、中古機を導入する際も人材確保や教育の面でハードルが低いというメリットがあります。工業高校や職業訓練校のNC実習でも、FANUC系の操作体系が採用されることが多く、業界内で最も「共通言語」に近い存在といえます。機能の拡張性やカスタマイズ性も高く、世界中にサービス拠点を持つため、海外拠点を含めて機械を運用する企業からの信頼も厚いメーカーです。

MAZATROL(マザトロール)

MAZATROLは、工作機械メーカーであるヤマザキマザック(Mazak)が独自に開発したNC装置です。最大の特徴は「対話型プログラミング」と呼ばれる操作方式で、加工したい形状や寸法を画面上で対話形式に入力していくことで、Gコードを意識せずにプログラムを作成できます。プログラミング初心者でも比較的習得しやすい一方、MAZATROL特有の操作体系に慣れる必要があり、他メーカーのNC装置とは操作感が異なります。特に、5面加工や旋削・ミーリングを1台でこなす複合加工機との親和性が高く、複雑な工程を対話形式でまとめて段取りできる点は、Mazak製の複合加工機が高く評価される理由の一つにもなっています。

OSP(オーエスピー)

OSPは、工作機械メーカーであるオークマ(OKUMA)が独自に開発したNC装置です。OSPもMAZATROLと同様に対話型プログラミング機能を備えており、直感的な操作性を重視した設計になっています。オークマ製の工作機械に搭載されていることが多く、同社の機械を複数台導入している工場では、操作の統一という観点からOSPが選ばれることもあります。オークマは高精度・高剛性な機械づくりに定評があるメーカーで、OSPもその機体性能を最大限に引き出すよう、高速演算による制御性能と、加工精度の作り込みに強みを持つNC装置として知られています。

三菱電機

三菱電機のNC装置も、FANUCと同様にISOフォーマットを基本としており、放電加工機やレーザー加工機など、特定の機械種別で高いシェアを持っています。工作機械メーカー各社への供給実績も豊富で、汎用性の高い操作体系が特徴です。

シーメンス

シーメンスは、ドイツに本社を置く電機メーカーで、ヨーロッパ製の工作機械を中心にNC装置を供給しています。国内メーカーの機械と比べると国内でのシェアはそれほど高くありませんが、輸入機を導入する場合には目にする機会があります。操作体系や表示言語が国内メーカー製と異なることがあるため、導入時にはオペレーターへの追加教育が必要になるケースもあります。

その他のNC装置

上記のほかにも、各工作機械メーカーが特定の機種向けに独自開発したNC装置や、汎用PCベースの制御システムを採用したものなど、さまざまな種類が存在します。マイナーな装置ほど、情報や技術者が少なく、トラブル時の対応に時間がかかる傾向があるため、あらかじめメーカーのサポート体制を確認しておくと安心です。

NC装置とサーボアンプ・サーボモーターの関係

NC装置は単独で機械を動かしているわけではなく、各軸のサーボアンプ・サーボモーターと連携することで、初めて正確な加工動作を実現しています。NC装置が「どこに、どれくらいの速度で動くか」という指令を出し、その指令を受け取ったサーボアンプが実際にモーターへ電力を供給する、という役割分担です。詳しい仕組みは、サーボモーターやサーボアンプについて解説した記事もあわせてご覧いただくと、工作機械全体の制御の流れがより理解しやすくなります。

FANUCとMAZATROL・OSPの違い

大きな違いは、プログラミングの考え方にあります。FANUCを中心とするISOフォーマットは、Gコード・Mコードという共通言語でプログラムを記述するため、機種やメーカーが変わっても、ある程度プログラムの互換性や知識の応用が利きます。一方、MAZATROLやOSPの対話型プログラミングは、各メーカー独自の操作体系であるため、他のNC装置での経験がそのまま活かせるとは限りません。

ただし、MAZATROLやOSPの多くは、対話型プログラミングだけでなく、GコードによるISOプログラムの読み込みにも対応しています。そのため、外部で作成したGコードプログラムを取り込んで使う、といった運用も可能です。

NC装置を比較する5つのポイント

NC装置ごとの特徴を整理する際は、次の5つの観点で比較すると分かりやすくなります。

1つ目は「操作性・画面の見やすさ」です。FANUC系のシンプルな画面か、MAZATROL・OSPのような対話型・グラフィカルな画面かで、オペレーターの習熟スピードが変わります。2つ目は「機能・性能・拡張性」で、加工シミュレーションや通信機能、将来的な機能追加のしやすさが含まれます。3つ目は「得意分野・対応加工」です。FANUCは汎用性の広さ、MAZATROLは複合加工機との親和性、OSPは高精度・高剛性機との相性というように、それぞれ強みとする加工領域に違いがあります。

4つ目は「サポート体制・保守性」で、故障時の対応スピードや、部品供給の継続性に関わります。世界的に普及しているFANUCは、この面で特に安心感があります。そして5つ目が「導入コスト・ランニングコスト」です。NC装置単体の価格だけでなく、オペレーターの教育コストや、プログラム資産の移行にかかる手間まで含めて、トータルコストで比較することが大切です。目先の本体価格だけで判断すると、教育や移行にかえって時間とコストがかかってしまうこともあります。

NC装置を選ぶ際に意識したいポイント

中古工作機械を選ぶ際は、自社のオペレーターが使い慣れているNC装置かどうかを確認することが重要です。すでにFANUC搭載機を複数台運用している工場であれば、同じFANUC搭載機を選ぶことで、操作教育の手間を抑えられます。逆に、対話型プログラミングに慣れたオペレーターが多い工場であれば、MAZATROLやOSP搭載機の方が早期に戦力化しやすいこともあります。

また、外部の協力会社とプログラムデータをやり取りする機会が多い場合は、汎用性の高いISOフォーマット(Gコード)に対応したNC装置を選んでおくと、データのやり取りがスムーズになります。反対に、社内で完結して加工を行う小規模な工場であれば、操作性を最優先してMAZATROLやOSPのような対話型NC装置を選ぶという考え方もあります。どちらが正解ということはなく、自社の生産体制や人材の状況に合わせて判断することが大切です。

複数のNC装置が社内に混在している場合、オペレーターがそれぞれの操作体系を覚える必要があり、教育コストが膨らみやすい点にも注意が必要です。将来的に機械を増設する計画がある場合は、既存設備とNC装置のブランドを揃えることで、長期的な運用コストを抑えられることもあります。

中古工作機械を選ぶ際の確認ポイント

中古工作機械のNC装置を確認する際は、まずNC装置のメーカーと型式・バージョンを確認しましょう。同じFANUCでも、世代によって画面表示や機能が異なります。古いバージョンの場合、メーカーのサポートが終了しており、故障時に修理や部品交換が難しくなっているケースもあるため注意が必要です。

また、操作パネルのボタンやタッチパネルの反応、画面の表示不良の有無も、現地見学の際に確認しておきたいポイントです。NC装置内部の電子部品は経年劣化しやすく、表示の乱れやボタンの反応不良は、今後のトラブルの予兆であることもあります。可能であれば、実際にプログラムの呼び出しや編集操作をさせてもらい、操作性に問題がないかを確認することをおすすめします。

あわせて、NC装置の画面がブラウン管(CRT)か液晶(LCD)かも、機械のおおよその年代を推測する手がかりになります。近年の機種の多くは液晶画面ですが、古い機種ではブラウン管が使われていることもあり、表示品質や視認性に差が出ることがあります。バックライトの劣化による画面の暗さや、色ムラなども、あわせてチェックしておきたいポイントです。

NC装置の世代と画面インターフェース

NC装置は、機械の製造年代によって世代が大きく異なります。古い機種ではブラウン管(CRT)モノクロ画面に緑色の文字だけが表示されるシンプルなものもあれば、近年の機種ではカラー液晶のタッチパネルで、加工シミュレーションや3D表示まで行えるものもあります。同じFANUC・MAZATROL・OSPというブランド名であっても、世代によって操作性や搭載機能には大きな差があるため、「FANUC搭載」という情報だけでなく、具体的なシリーズ名や世代まで確認することが重要です。

世代が古いNC装置は、記憶容量が小さく、複雑で長いプログラムを保存しきれない、通信インターフェースがRS-232Cのみで近年のUSBメモリやネットワーク経由でのデータ転送に対応していない、といった制約が生じることもあります。自社で扱う加工プログラムの規模や、データ転送の手段を踏まえて、必要な世代のNC装置を選ぶことも大切です。

NC装置の換装(レトロフィット)という選択肢

機械本体の機構部分(主軸・送り軸など)はまだ十分に使える状態でも、NC装置だけが古くサポートが終了している、という中古工作機械も少なくありません。このような場合、機械本体を活かしたまま、NC装置やサーボアンプ・サーボモーターを最新のものに載せ替える「レトロフィット」という改造が行われることがあります。

レトロフィットを行うことで、古い機械でも最新のNC機能や高い通信性能を得られるメリットがある一方、専門業者による設計・施工が必要になり、まとまった費用がかかります。中古工作機械を検討する際、「レトロフィット済み」と表記されている機種があれば、NC装置自体は比較的新しい可能性が高いため、あわせて確認しておくとよいでしょう。

レトロフィットのタイミングで、NC装置のブランドが変更されているケースもあります。例えば、もともとMAZATROLが搭載されていた機械が、レトロフィットによってFANUCに載せ替えられている、といったこともあり得ます。中古機を検討する際は、機械メーカーの純正NC装置とは限らないことも念頭に置いて、実際に搭載されているNC装置のブランドと世代を確認することが大切です。

NC装置のバックアップとパラメータ管理

NC装置の内部には、機械固有の調整値である「パラメータ」や、加工プログラム、工具補正データなどが保存されています。これらのデータは、機械の個体差に合わせて設定されているため、万が一のトラブルでデータが消失すると、メーカーによる再設定が必要になり、時間と費用がかかることがあります。前オーナーがこれらのデータをバックアップとして保管しているかどうかは、中古工作機械を導入するうえで意外と見落とされがちな確認ポイントです。バックアップデータが引き継がれれば、設置後の立ち上げがスムーズになります。

よくある質問

Q. FANUCとMAZATROL、どちらを選べば良いですか?

どちらが優れているというよりも、自社のオペレーターがどちらに慣れているか、外部とのデータのやり取りが多いかどうかで判断するのがおすすめです。汎用性を重視するならFANUC系、直感的な操作性を重視するなら対話型のMAZATROLやOSPが向いています。

Q. MAZATROLやOSPは、Gコードのプログラムも使えますか?

多くの場合、対応しています。対話型プログラミングを基本としつつ、外部で作成したISOフォーマット(Gコード)のプログラムを読み込んで実行することも可能です。

Q. 古いバージョンのNC装置でも問題なく使えますか?

基本的な加工は可能ですが、メーカーのサポートが終了している場合、故障時の修理や部品交換が難しくなることがあります。中古機を選ぶ際は、NC装置のバージョンとサポート状況をあわせて確認しておくと安心です。

Q. NC装置だけを新しいものに交換することはできますか?

技術的には可能な場合もありますが、機械本体の配線や仕様との適合性を確認する必要があり、費用も高額になりがちです。専門業者に相談したうえで検討することをおすすめします。

Q. NC装置の違いによって、加工できる形状に差は出ますか?

基本的な加工能力そのものは、機械本体(主軸・送り軸などの機構部分)によって決まるため、NC装置のブランドによって加工できる形状が制限されるわけではありません。ただし、対話型プログラミングを持つMAZATROLやOSPは複雑な段取りを組みやすく、結果として複合加工のような多工程の加工に強みを発揮しやすい、という違いはあります。

Q. 中古工作機械の情報に「FANUC 0i」のように型式が書かれているのはなぜですか?

FANUCのNC装置には「0i」「31i」「35i」など、世代やグレードを示すシリーズ名があります。同じFANUCブランドでも世代によって性能や対応機能が異なるため、型式まで記載することで、より正確な仕様を伝える意味があります。中古機を検討する際は、ブランド名だけでなくこのシリーズ名も確認するようにしましょう。

まとめ

NC装置は、工作機械の頭脳として、加工プログラムの解釈から各軸の制御までを担う重要な存在です。FANUCに代表されるISOフォーマット系と、MAZATROL・OSPに代表される対話型プログラミング系とでは、操作の考え方が大きく異なります。中古工作機械を選ぶ際は、機械本体の状態だけでなく、自社のオペレーターが使いこなせるNC装置かどうか、そしてメーカーサポートの状況まで含めて検討することが、導入後にスムーズに戦力化するための鍵となります。

操作性・機能や拡張性・得意分野・サポート体制・導入コストという5つの観点で整理すると、自社に合ったNC装置の傾向が見えてきます。FANUCは汎用性とサポート体制の広さ、MAZATROLは複合加工機との親和性、OSPは高精度・高剛性機との相性というように、それぞれ得意分野が異なるため、「有名だから」「安いから」という基準だけで選ぶのではなく、自社の加工内容やオペレーターの習熟度に照らして判断することが大切です。

機械販売センターでは、NC装置の種類やバージョンについてのご相談にも対応しております。中古工作機械の購入をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。

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